ナースステーション前の四人部屋に5日間寝ていた。 病室には、 意識不明で呼吸器が付けられてる人がいた。…奥さんの呼び掛けに、手を握りかえして反応しているように見える。 確かに、脳は生きていたのかもしれない。 何を感じて、そして考えていたのかは?本人にしか分からない。 けれども、… 毎日看病に通い、声を掛けている奥さんの姿を見ていたら、 きっと、この人は幸せを感じ、感謝しているに違いないと思った。 …心は間違いなく生きている。 生きていることの、切なく残酷な部分が此処には、病院には、あるように思えた。 もう一人は、 昼間は眠っていて、消灯になると目を覚まし、朝まで大きな声で叫んでいる老人だった。 「おぉ〜い」 「南無妙法蓮」 「…してくれ」 意味不明な叫びは、 我が儘な子どもの様にも見える。 食事もろくに摂らず、 拘束されているのにもかかわらず点滴を口で引きちぎる姿は… 己れの境遇に耐え兼ねて、自ら命を削っているのではないか?とも思った。 修行僧侶に似ている。 けれど… 煩くて眠ることが出来なかったので、 もし、自分の身体が動いたならば、ゆっくりと歩いてゆき、首をじんわり絞める。そんな妄想に駈られた。 ヤバイ…俺の精神は病んできている。 あと一人は、 九十歳を過ぎて、少しボケてるお爺ちゃん。 なんと食事制限がない。差し入れでキンツバ(大判焼き)を食べていた。 自分で歯も磨ける。 …羨ましい。 本当に羨ましく思えた。 あれっ…ちょっと情けないぞ。 比較になる筈もないのに 冷静に考えると何とも情けない。感情の起伏が異常になってきているのか? …落ち着かないといけないな。 後で聞いた話だと…、重症患者はナースステーションの近くに置かれるのだそうだ。 俺も…似たり寄ったりだったのかな? 幸い頭部手術は免れたが、希望は失っていた。 俺はどうすれば良いのか? [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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