破天荒モンスター「凶暴さん」

第4話「好き嫌いダメよ」

凶暴さんが珍しく朝早く目覚めた。まだ朝と言うか夜中1時である。
「朝か!よ〜し!ゴミ捨てるか!」
ゴミ袋を両手に二つ持ちながら凶暴さんは夜中の街を行く。
ゴミ捨て場では、生ゴミをあさる物音が奥からする。
「誰かいるらしい。」
凶暴さんが物音の方に近づくとそれはそれは醜い顔をした人物が生ゴミを漁っていた。
「お前!!もしかしてアサリか!?」
ゴミを漁る人物に凶暴さんは驚き大声で尋ねた。「ん〜?んだよ」
凶暴さんの質問に答える凶暴さんそっくりの醜い容姿をした彼女の名は「五味アサリ」と言い、名前の通りゴミを主食としている。彼女は凶暴さんの妹であり、3年前に「五味ダイオキシン」と言うハーフのホームレスと結婚したが貧乏過ぎる暮らしに嫌気がさしゴミを漁るようになったのだ。「あれっあ〜おにちゃんだ!」
ゴミの食べ過ぎで脳みそが腐ったアサリは呂律の回らない言葉で凶暴さんに気付く。
「お前何でゴミなんか漁ってんだ!ダイオキシン君はどこ行った!」
「しんだだよ〜!グハハハ!」
「死んだだと!何故だ!」
「チーマにボコラレタ!」
「チーマーにやられたのか!何て事だ!とにかくそんな汚いモノを食べるな!これから高級レストランに連れてってやる!」
凶暴さんはアサリの手を掴みゴミをその場に捨てて高級レストラン「テニース」へ急いだ。
深夜2時、テニースではコックが後片付けをして帰り支度をしていた。完全に労働基準法違反である。
「オラァ!飯を食いに来たぞ!開けろ!」
凶暴さんが軽くドアを叩くとガラスが木っ端みじんに砕け、コック達は失禁しながら凶暴さんに従い帰り支度を止めて料理を作った。
深夜2時15分。あっという間に高級料理が出来上がった。
「さあアサリ!たんと食え!俺様がお前に兄貴らしい事が出来るのはこれ位の事だ!」
アサリは目の前の料理に貪り付いた。しかし、料理を口にした瞬間「ゲボアァ!!」とアサリは大量のゲロを吐きテーブルはおろか高級大理石をあしらったレストラン内はゲロと悪臭が漂った。長年ゴミを主食に生きて来た為、普通の食事が体を受け付けなかったのである。
「アサリ!ゲロを吐くなんてきたね〜野郎だ!馬鹿野郎!」
凶暴さんはアサリの顔面を100%のパワーで殴った。アサリは天高く飛んで行った。
「みんなも好き嫌いしたらブチ殺すからな!グハハハ!!」
凶暴さんは高笑いしながらレストランを後にした。
(第5話へ続く)

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